1120人が本棚に入れています
本棚に追加
「幼なじみ……って」──だったらなぜ、幼なじみの彼女に追いかけられるわけがあって? だいたい、それだけの関係なら、彼女に時間を割かなければならないのは、どういうわけで……?
疑問が後から後から湧いて、何から尋ねればいいのかさえわからず、混乱しきりでいると、
「……どう言えば、いいんだろうな……」と、彼が口に出した。
「何ていうか、幼なじみだが今は付き合いがあるとかではないんだ。ただ、まだ瞳子のことは、俺の中でけりをつけられていないこともあって、上手くは説明ができなくてな……」
『今は』とか『まだ』という単語が、どこか未練があるようにも聞こえて、引っかかりを隠せない。
前に想像をしていたような、お仕着せなお見合い相手ってことでもなさそうで……。……だとしたら、彼と彼女には、実際どういった事情があって……。
そう突っ込んでみればとも思うけれど、もしも彼女に……ううんあるいは彼の方にだって、現に付き合いはなくても気があるんだとしたらと考えると、さっきまでの勢いも影をひそめて、その答えを訊くようなことは恐くてできなくなった……。
最初のコメントを投稿しよう!