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幽霊
マナーモードのバイブ音で魂が抜かれるほど、僕は幽霊になったようだ。
僕の右手に5本の指があることも、窓の外で夕焼け雲が靡くことも、全てを信じられなくなった、生きていることと死んでいることの境目はどこにあるのだろうか、寂しいのは同じだ、苦しいのも同じだ、嬉しいのかは知らない。
何を考えたのかも何を知ったのかも何と出会ったのかも分からないまま繰り返した心というよく分からないもの、それを証明するために息をしているのだろうか。
幽霊の世界では、愛というものが通用するのだろうか。
愛が共通貨幣となってゆくこの世界の中、それを知る術もなく、1人電源を切った。
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