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「————オススメするだけじゃあ、つまんないと思わないか。」
それは、どういう。
僕が尋ねようとした時、相棒は「わかってないようだなあ。」と嬉しそうに言った。
「あっちの文化も知りたいな、って。赤いものの美の奥深さもご教授してやるけど、その前に、あっちの話を色々聞いてみたいな、って。そう……“あれ”を見た瞬間に、思ったんだよ。」
あれ、と言いながら、相棒はロケットを指差した。
レモン色の雨に打たれて、わずかに黄色に染まった金属体。それは淡く、静かで、侘しい……それなのに不思議に魅力を感じる。惹かれる。そういうものだった。
雨上がり。
燃え上がる朱の空に浮かぶ、小さな異星のロケット。
僕と相棒は、それが大地に降りる瞬間を。
爽やかに風吹き渡った空の如く。不思議に晴れ晴れとした心で、見ていたのだった。
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