闇から光へ

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その時に小さな声が聞こえた。 『瑠璃さん?大丈夫?外出ようか?』と心配な声で凪さんが言った。 そしてその時に気づいた。 自分が涙を流していた事に。 「……大丈夫です。」 「しかし…。」 「最後まで…演奏を聴かせてください。」 その答えに凪は頷き、再び演奏を聴いた。 コンサートが終わり、外に出てから近くの公園にて休憩をした。 「大丈夫、瑠璃さん? さっきは泣いていたからヒヤッとしたよ。 感動していたならいいけど、表情が暗かったから…。」 「いや、素晴らしかったですよ。 素敵な演奏でした。 …でも、音楽を聴くのは本当に久しぶりだったから…。 もう1年も経ったから大丈夫かと思ったんです。」 「1年って…もしかしてご両親の事故の事?」 「あの事故の日に私のピアノの発表会の日でした。 私…ピアノ教室に二十年も通ってたんです。 あの日は当初、両親共に仕事が忙しい日で来れない予定の中、来て欲しいと言った私の為に仕事を半有休にして来てくれたんです。 そして帰りに…相手側の飲酒運転での事故が起きてしまった。 私は意識があって、見えなかったけど…両親が私の事をを心配する声が聞こえた…。 何かできる事が…って思ったけど出来なかった。 私があの時に両親を強く誘わなければ…こんな事にはならなかったのにって…大好きな音楽もピアノも封印したんです。」 いつの間にかまた涙を流しながら話したが、その時に凪が瑠璃の手を強く握って話した。
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