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両親が「先生…。息子は…息子の凪はどうなりましたか?」
医師からは「出血多量で酷い状態でしたが、どうにか峠を越える事が出来ました。もう大丈夫ですよ。」
「良かった…。先生…本当にありがとうございます!」
「息子を救って頂き、ありがとうございます!」
両親共に涙を流しながら何度もお礼を伝え、私もホッと安心している内に、座っている私の前に誰かいる事を感じた。
手術をした先生だ。
「応急処置をしてくれたのは君かな?」
「そうですが…。」
「…君が行った処置がなければ、もしかしたら今頃助からなかったかもしれない。
盲目ながらも見事な応急処置だったと思う。
君のお陰で手術も無事に成功し、お陰で命を助けることができた…。
本当にありがとう。」
先生の言葉を聞いてから安心と、今まで支えてきたものが崩れ落ちたかのように、ボロボロと涙をこぼし始めた。
あの応急処置対応から不安、緊張、そして処置がまちがっていないかの罪悪感で心の中に渦巻いていたのだから…。
また…助けられなかったのかって…思った…。
父と母の様に…。
涙が止まらない瑠璃だったが、急に抱きしめられたのでビクッとする。
「本当にありがとう…柏崎さん…。
息子を助けてくれて…。」
抱きしめてきたのは母親だった。
まるで亡き母が抱きしめてきたかの様に懐かしくなり、更に涙が止まらなかった。
手術結果が分かった後は母親と連絡先を交換し、里中さんの父親のお言葉を甘えて、車で家へ送ってもらうことにした。
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