訪問

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それから事件のニュースがテレビで度々取り沙汰された。 里中さんが務める会社での横領が発覚し、それを調べていた里中さんが狙われ、犯行に及んだとされる。 横領に加え、殺人未遂の犯人である元社員は逮捕された。 一度でも様子が知りたくてお見舞いに行こうとしたが、事件担当の記者が騒いでいる為、結局できなかった。 事件から2週間ほど経った休日。 家でのんびり過ごしていた時に玄関のチャイムが鳴った。 「はい、どちら様ですか?」 「すみません。里中と申します。」 (え!里中さん?) 退院されたとびっくりしながらドアを開ける。 「君が…柏崎 瑠璃さん?」 「あ…はい。」 「初めまして。改めまして、里中 凪です。 突然の訪問に申し訳ありません。 今…お時間ありますか?」 「はい…大丈夫です。中へどうぞ。」 「失礼します。」 顔は見えないが、声からして男らしい発音の中に優しさが含まれている様な声を気にしながらも、茶の間へ案内した。 お茶の準備を手探りで行い、テーブルに着いた凪へ粗茶を出し、自分も座った。
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