3人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
衝撃の出会い
柏崎 瑠璃(25)は白杖を持って道を探りながら、仕事帰りの道へと歩いていた。
全盲だが、耳が良い事が救いで仕事は近所で録音タイピストをしている。
幼い頃から全盲で優しい両親に支えられながら育ったが、1年前に両親が交通事故により共に急死。
両親を亡くなってから1年、両親の住んでいた家で精一杯生きていたが、瑠璃の心は深い闇は一向に治らなかった。
そんな時に出会ってしまった。
商店街で買い物をしてから自宅に向かおうとした。
いつも近道として人気の無い公園を通っていたが、途中で持っていた白杖に何か突っかかってしまった。
(あれ?この道には何も無いはず…。)
突っかかったものはかなり重たい。
(丸太?荷物?)
一応確認で、しゃがんで物は何か触っていくと…。
(……人?人が倒れてる!?)
「大丈夫ですか!?聞こえますか!?
返事をして下さい!」
大きな声で叫ぶと微かに「うう…」と男性の声が聞こえた。
意識がある事にホッとして、「何処か痛い所は」と尋ねた瞬間に液体らしきものが手に触れてしまった。
(なにこれ…。)
体を触っていくと左腹部あたりに液体と共にものが当たり、「痛ッ!」指に鋭い痛みを感じ、その時に理解した。
最初のコメントを投稿しよう!