ある阿呆?の野望

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ある阿呆?の野望

 時は25世紀に入ったばかりのエウロパ。  ここはかつてヨーロッパと呼ばれていたが。王侯貴族の子孫達が革命を起こして、ヨーロッパを統一してエウロパとなり、それにともない貴族という身分が復活。  平民達が反発するかと思えば、スポーツや学問など能力のある者は貴族の支援で一流大学への進学。貴族の後ろ盾での海外留学が可能。成功者として認められれば、貴族と婚姻や養子縁組してその一員にもなれる(希望すればだが、庶民が楽という考えもある)  なので大昔極東で流行った『親ガチャ失敗』な子供達は、能力さえあれば貴族の後ろ盾で道が開けると、自ら貴族に支援を求める。  とまあ……一昔前には考えられない事が当たり前な時代に。  そんな時代に真実の愛?を手に入れようとする男がいた。  彼の名はロバート。  下半身に節操な……ゲフンゲフン……失礼……。とある貴族が妻子がいるにもかかわらず、平民の女性に産ませた子供。ようは愛人の子供として生まれたのがロバートだ。    愛人の子供とはいえ、父親が貴族なので生活には困らないだけの支援は受けていた。しかし、この地で事実婚が主流だったのは昔の話。  エウロパになり貴族が復活してからは『婚姻制度』が重んじられるようになり、ロバートの母親は『既婚者に身を任せた頭と尻の軽い女』と影で呼ばれていた。     そんな産んでくれたのには感謝するが、頼りにならない母親と、金は出すがたまーにしか顔を出さない父親。ロバートは幼いながら『勉強して出世してやる!』と心に誓い勉学に励んだ。  家庭教師やらの教育費は、父親が貴族なだけあり不自由する事はなく、父親の本妻も『家を継ぎたいと出しゃばった事さえ言わなければ』と教育費をかける事に反対はしなかった。  そんな彼の野望それは……。 「ああ……マーガレット様」  ロバートは公園のベンチに座り、恋い焦がれる女性の名前を呟いていた。  彼女の名前はマーガレット。  2年前父親に連れられて、地域の貴族の集いに出席した際出会った可憐な少女。  父親は貴族とはいえ、所詮愛人の子供であり平民のロバート。そんな彼に、にこやかに挨拶してくれたマーガレットにロバートは一目惚れしてしまった。 「マーガレット様……いつか結婚したい」  持っていた鞄を抱きしめ、愛しい女性の名を呼ぶ。……と言えば聞こえはよいが、ロバートは鞄を抱きしめクネクネと怪しい動きをしていてる。もし彼と知り合いだったら、思い切り他人の振りをするであろう。  現に公園にいた子連れの母親は子供に「目を合わせちゃいけません」と言いそそくさと公園を離れ、様子のおかしな彼を見ていたのは公園に集う鳩の群れだけであった……。
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