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流行病とは?
カフェでの出会いから数日後。
偶然知り合ったジョージの家に招かれたロバートとエリック。
手土産にはかの有名な【スターおばさんのスコーン】
ロバートは女子達の行列の中に混じりスコーンを手に入れた。
場違いな気がしたがマーガレット様への手土産を買うという妄想で乗り切った。それは本人とエリックしか知らない。いや…エリックは知りたくなかったそうだ。
-俺を巻き込むな!(エリックこころの叫び)
『流行病とは何ぞや?』
『そもそも懐かしのヒロイン症候群とは?』
たまに新聞で流行病の記事を目にするが症状が多岐に渡るため詳しく知る者は少ない。
好奇心旺盛なお年頃の2人はレンガや石造りの家が建ち並ぶ住宅街を通り抜け、年季の入った木造住宅にたどり着いた。
エリックは表札を確認すると感激の声をあげ目をキラキラさせていた。
「すっげー!ジパングの古民家風だ」
「木をたくさん使った家なんてちょー贅沢!」
「しかも平屋なんて!」
大学で建築史を専攻しているエリックは興奮気味だ。
エリックが呼び鈴の紐を引くと扉が開き年配の女性が顔を出す。
ちょいとふくよかで白髪を後ろで団子にしているかわいらしい小柄な女性。
「あら…どちら様?」
「僕はエリック…ジョージさんに用があって…」
「おれ…あ…僕はロバートです」
女性は微笑むと手招きして2人を家の中にいれた。
「お待ちしてました…私はジョージの妻節子です。夫は貴方達に見せる資料を用意しているので先にお茶でもいかが?」
ロバートは手土産を女性に手渡すと嬉しそうに礼を伝え応接室に通した。
ジパングの緑茶と茶色い饅頭を出され頬ばる2人。
どちらもエウロパでは手に入りにくい物。
女性の話しでは彼女の父方のルーツがジパングで節子の姉もジパングに住んでいるため比較的手に入れやすいそう。
「これぞジパング殿堂のおやつ」
ロバートとエリックは饅頭の皮の風味と漉し餡のなめらかさ。そして緑茶との相性を堪能していた。
コンコン!
「おーい!かあさん開けてくれ」
「はいはい」
節子が部屋のドアを開けると資料を抱えたジョージが入ってきた。
「すまんすまん…思ったより資料が多くてな」
「「お邪魔してます!」」
「おお!2人ともよく来たな」
ジョージはテーブルの上に資料をドサリと置くと2人とテーブル席をはさんだソファにどっかりと座った。
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