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ジョージは節子から手みやげを貰ったと聞き2人に礼を言うと後でとっておきの紅茶といっしょに皆で食べようと提案。
節子は頷き部屋を出ていった。
「さて…先ずは流行病の歴史から説明しようか」
ジョージは丁寧にファイリングした新聞記事を出してきた。
「先ずは流行病の始まりの始まり」
21世紀前半に盛んだった『小説投稿』
その中でも人気のカテゴリーが幾つかある。
21世紀…王侯貴族が革命を起こす前は投稿された小説を皆で楽しむ健全な物だった。
ところが革命により文明が後退してからどこで誰が手に入れたのか?昔はインターネットで読めた小説が本として出回りはじめた。
「インターネットとは何ですか?」
エリックが質問をしジョージが紙を使わず文書を送れる小さな電話機や色々な情報を手に入れられるノート型や箱形の機械でのやりとりと説明した。
今の時代伝書鳩が大活躍なのに。
「まず流行病の第1波」
22世紀後半エウロパから独立したばかりのエゲレス。そこで奇妙な病が報告された。 報告者はエゲレスのある精神科医。 闇市場で流通する本を愛読する少女達のごく一部に奇妙な症状がみられた。
いきなり『自分は異世界からの転生者』だと名乗ったり、自分は聖女だと教会に乗り込んだり。
(ただのヤベーヤツじゃん)
ロバートとエリックは心の中で突っ込む。
「そしてこの病が世間に知られはじめるキッカケの出来事があった」
エゲレスの王女が婚約披露パーティーの場で婚約者が浮気したと断罪したのだ。すぐに婚約者の浮気は本当の事だったと証明されたのだがパーティーの場は大混乱。王妃がその場で気を失う羽目になった。
本来王侯貴族の婚約は家と家との繋がりを重視している。だから婚約破棄はお披露目の場ではなく、両家の話し合いののち教会や裁判所の承認が必要となる。それをすっとばしての婚約破棄だ。たとえ相手が悪くても王女は非難された。
(悪いのは男だろ!!)
2人は心の中で突っ込む。
「そしてエゲレスの精神科医はそれらの騒動の当事者の共通点を発見した」
「それは…」
ゴクリとロバートとエリックはつばを飲み込む。
「21世紀前半に流行した投稿小説の愛読者」
そして発見した精神科医は『懐かしのヒロイン症候群』と名づけた。
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