ある阿呆?の野望…

1/1
前へ
/6ページ
次へ

ある阿呆?の野望…

時は25世紀に入ったばかりのエウロパ。 ここはかつてヨーロッパと呼ばれていたが王侯貴族の子孫達が革命を起こしてヨーロッパを統一してエウロパとなり…貴族という身分が復活。 平民達が反発するかと思えばスポーツや学問など能力のある者は貴族の支援で一流大学への進学・貴族の後ろ盾での海外留学が可能。成功者として認められれば貴族と婚姻や養子縁組してその一員にもなれる(希望すればだが…庶民が楽という考えもある)なので大昔極東で流行った『親ガチャ失敗』な子供達は能力さえあれば貴族の後ろ盾で道が開けると自ら貴族に支援を求める。 とまあ…一昔前には考えられない事が当たり前な時代に。 そんな時代に真実の愛?を手に入れようとする男がいた。 彼の名はロバート。 下半身に節操な…ゲフンゲフン…失礼…ある貴族が妻子がいるにもかかわらず平民の女性に産ませた子供。ようは愛人の子供だ。   愛人の子供とはいえ父親が貴族なので生活には困らないだけの支援は受けていた。しかしこの地で事実婚が主流だったのは昔の話。 エウロパになり貴族が復活してからは『婚姻制度』が重んじられるようになりロバートの母親は『既婚者に身を任せた頭と尻の軽い女』と影で呼ばれていた。    そんな産んでくれたのには感謝するが頼りにならない母親と金は出すがたまーにしか顔を出さない父親。ロバートは幼いながら『勉強して出世してやる!』と心に誓い勉学に励んだ。 家庭教師やらの教育費は父親が貴族なだけあり不自由する事はなく、父親の本妻も『家を継ぎたいと出しゃばった事さえ言わなければ』と教育費をかける事に反対はしなかった。 そんな彼の野望それは…。 「ああ…マーガレット様」 ロバートは公園のベンチに座り恋い焦がれる女性の名前を呟いていた。 彼女の名前はマーガレット。 2年前父親に連れられて地域の貴族の集いに出席した際出会った可憐な少女。 父親は貴族とはいえ所詮愛人の子供であり平民のロバート。そんな彼ににこやかに挨拶してくれたマーガレットにロバートは一目惚れしてしまった。 「マーガレット様…いつか結婚したい」 持っていた鞄を抱きしめ愛しい女性の名を呼ぶ。…と言えば聞こえはよいがロバートは鞄を抱きしめクネクネと怪しい動きをしていて…もし彼と知り合いだったら思い切り他人の振りをするであろう。 現に公園にいた子連れの母親は子供に「目を合わせちゃいけません」と言いそそくさと公園を離れ、様子のおかしな彼を見ていたのは公園に集う鳩の群れだけであった…。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加