19 クロエ、熱を持て余す※

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19 クロエ、熱を持て余す※

「んっ、あぁ、上手です……ッ…んあぁ、」  左手で乳房の先をきゅっと捻りながら、残った片方を赤子のように吸われると、私はその強弱の落差に眩暈がした。もっと悪いことに、ギデオンの硬くなったものが太腿にずっと当たっているので嫌でも意識してしまう。  無意識に両方の腿を擦り合わせると、魔王は苦しそうに息を吐いた。 「………っはぁ、クロエ…」 「辛いのですか……?」  心配になって手で触れてみる。  寝着の上からでも分かるぐらい張った先端は、ビクンビクンと小さく脈打っていた。こんなものを挿れたらどうなってしまうのだろう。 (…………私、変だわ)  試してみたいと思っている。あんなに恐ろしくて、口淫だけで涙が出るほど辛かったのに、凶悪な彼の分身を受け入れたいと思ってしまっているのだ。  こっそりと自分の蜜穴を確かめる。  十分に潤っているから、そこまで痛くはないだろうか。少しずつ慣らしていけば大丈夫かもしれない。期待と恐れのバランスは、今や完全に前者に傾いていた。 「魔王様……こちらへ」  ぱかっと脚を開いてギデオンの腰を抱く。  はだけたシャツの隙間から、その腹に口付けた。  しっとりと汗ばんだ皮膚は、なぜか甘く感じる。徐々に下へ下へと進みながら、私は彼の下着ごと夜着をずり下ろした。ムンと雄の匂いが鼻を掠める。 「……っ……ん、何を…!?」  溢れ出た先走りを舌で舐め取ると、ギデオンは驚いたようにビクリと身体を引いた。 「夜伽の務めです。今日は少し学びを深めましょう」 「しかし…人間の女は、」 「王女の前ではもっと念入りに時間を掛けてください。でも私は違います。婚約者が居たので経験はあります」 「………、」 「魔王様、私はあなたの夜伽相手としてこの城に居るのです。務めを果たさなければいけません」  強い口調で言うと、ギデオンは「分かった」と頷いた。  くちゅっと蜜穴に先端を添えると一気に押し込む。 「────っはぅ!?」  想像はしていたけれど、なかなかに痛い。しかし、いつまでも「どうしようどうしよう」とお互いを労わりながらで進まない。気を紛らわせるために、私はキスをせがんだ。  唇が触れ合うまでの張り詰めた時間も、大丈夫だと伝わるように黄色い双眼を覗き込む。みちみちと穴を塞ぐ肉塊がまた応えるように脈打った。 「んっ……少し動いていただいても、問題ないです」 「そうか。痛かったら教えてくれ」  ぬちぬちっと粘膜を擦り合わせながら、浅いところでゆるやかな抽挿が始まる。まだ全然奥までは届いていないはずなのに、それだけでも気持ち良くて私は何度か軽く達した。幸いにも魔王は気付いていないようで、真剣な顔で腰を動かしている。 「………あぁ、良いです、きもちぃ…っ」  止めどなく溢れる蜜が潤滑油となって、奥へ奥へと誘う。初めはセーブしようとしていたギデオンも、流されているのか少しずつ挿入の深さは増していた。  甘い快楽と共に訪れる痺れるような痛みは癖になりそうで、たかが教育の一環ということを忘れそうになる。恋人同士にしては堅すぎるギデオンの表情を見ることで、私はやっと冷静さを取り戻した。  しかし、王は何か思い詰めたように動きを止めた。 「魔王様……?」  ハッとしたようにギデオンが目を見開く。  ずりっと剛直が引き抜かれて、私は驚いた。 「え、どうして…?……何か気に触ることでも、」 「いや。悪い、今日はもう止めておこう」  そう言ったきり、ギデオンは慌ただしく衣服を正して部屋を出て行ってしまった。  ベッドの上で膝を抱え、中途半端な熱が残った身体を抱き締める。嫌な思いをさせてしまったのだろうか?指導係のくせに悦に浸っているのがバレて引かれた?  鎮まらない身体は続きを求めて疼くけれど、もう彼は戻って来ない。私は窓の外から聞こえる風の音を耳にしながら、少しだけシーツに残ったギデオンの匂いを抱いて眠った。
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