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21 クロエ、閨を教わる1
「違うのっ……これは、バグバグが…!」
焦って突き出した二本の腕は空を切って、ギデオンは私を軽々と持ち上げた。
このようなふざけた格好をして迎えたことに腹を立てたのだろうか。だって彼は夜伽相手の私を放ったらかして自分で欲を解放していたのだ。それでは私の立場もない。
ドサッとベッドに下ろされて、私は恐る恐る顔を上げた。
これはどんな表情なのだろう。いつものようにお勉強モードの堅い顔というよりは、何かもっと感情的な……
「クロエ、お前は分かっていない」
「魔王様?」
名前を呼ぶ私の声には応えずに、ギデオンは胸を覆う小さな布をずらしてその先端を口に含んだ。
「っあ、いや……ッ…んん、」
「傷付けてしまうと思って堪えていたのに、どうしてそんな格好で俺を誘うんだ。お前は俺が怖くないのか?」
「……んっ、あぁ、それ………ンンッ!」
硬く尖った頂を口内で転がしていたかと思うと、歯で挟んで甘噛みをする。時折見せる獣のような目は、いつもの優しい彼の姿とは異なって私は背筋がゾクゾクした。
「クロエ、どうだ?」
「ふ、んぅ……!魔王様、舌がっ……ぁあっ!」
「触り方の好みは個人差があるんだろう。お前は優しく撫でられるのが良いのか?それとも、」
「………っひぐ…!?」
ぎゅっと両方の胸の飾りを引っ張られて、私は頭が真っ白になる。
ギデオンが耳元で「こっちの方が気に入ったようだな」と呟く。もどかしいほど近寄らなかった魔王からの突然の接近は、私の頭をひどく混乱させた。
そうだ、これは閨教育の一環だった。
そんなことを思い出しながら身体を起こす。
「すみません……続きは、私が誘導します。以前もお伝えしましたが人間の女は性交するときに、」
「ああ、覚えているから心配ない」
「あっ……!」
膝立ちになった私の下から無遠慮にギデオンの手が侵入する。太い指はそろりと恥丘を撫でると、溢れた蜜を塗り込むように念入りにその穴を解す。指が動くたびにグチュッと水気を帯びた音が部屋に響いた。
「こんなに濡れるものなのか?ペルルシアの王太子はよほど厳しい訓練を課したようだな」
「………っ!」
ギデオンは私が以前苦し紛れに言ったことを持ち出しているのだろう。閨の指導者ということで手慣れた女を装うために吐いた嘘を彼が記憶していたことに私は驚く。
ふにふにと周辺の肉を指の腹で揉まれて、蜜穴は今か今かと期待に収縮を繰り返した。気持ち良いけれど、ゆるやかな快感の波は私を攫ってはくれない。
(…もう少し……あと、少しなのに、)
入り口を優しく触れるばかりで、指は中へは侵入しない。これは焦らされているのだろうか。太腿を擦り合わせたくても割れ目をなぞる手が邪魔だ。
見上げた先で、ギデオンは不思議そうに首を傾げた。
「どうした?」
「……いえ、その…もう挿入しましょう。私が上に跨りますので、魔王様はどうぞ下で横になってください」
「こっちの説明がまだじゃないか?」
「え? あ、んぁ……!?」
それまで行ったり来たりを繰り返していた指がぷくっと膨れた肉芽を摘む。予測していなかった刺激に腰が大きく仰け反った。
「……っ…ゃあ、あ…あぁ、んんっ」
「人間の医学書を読んだことがあるが、これは興奮を覚えると充血して硬くなるらしい。男みたいで面白いな」
「あっ、それだめ、いっぱい擦っちゃ……」
「吸ってほしいのか?」
なるほど、と言って視界から消えたギデオンがぢゅうっと勢いよく秘所に吸い付く。生温かい舌が肉壁を擦る刺激で、私はまた余裕がなくなった。
ギデオンは私の反応を見ながらピンと張った突起を吸ったり唇で挟んだりする。もう完全に降参した私はただただ四肢を痙攣させながら刺激を逃すのに必死だった。
「辛そうだな。楽にしてやろう」
「………?……っにゅ…!?」
ずりっと突き刺さった指が膣奥をとんとんと押す。上からは押し付けるように肉芽を捏ねられれば、もう理性はどこかへ飛んで行ってしまった。勢いよく吹き出した水がシーツに小さな水溜まりを作る。
「っあ、あぅ……え…?」
「漏らすほど良かったか?」
「わ…わたし、」
「おかしいなぁ、クロエ。俺はお前に教わる立場なんだが……どうやら俺が教えることの方が多いみたいだ」
ニコッと良い笑顔を見せた後、ギデオンは夜着を降ろす。
いつもに増して雄々しい剛直を見て私は息を呑んだ。
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