26 クロエ、触手と戯れる1※

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26 クロエ、触手と戯れる1※

「何を…言っているんだ?」  驚いたようなギデオンの声が聞こえる。  それに合わせて水の表面もさわさわと揺れ動く。 「何を言っているのかしらね。でも、そう思っちゃった。私はあなたのことを知っているから、大丈夫って」 「知らないだろう!お前がいったい俺の、」 「ギデオン…あなたが魔王にしては優し過ぎることを知ってる。この島で働く皆のことを大切に思っているのも分かった」 「そんなの王としては当然の務めだ……!」 「ただの夜伽相手に過ぎない私のことを気に掛けて、臆病になって抱けなかったことも知ってる。あなたはきっと、誰かを傷付けて平然と笑える人じゃない」  冷たい水に手のひらを合わせる。  そのまま、つぷっと沈めるとまるで海の中のようだ。  混血である彼が、今までどのような苦労をしてきたのか私は知らない。父も母も居ない中で、まだ幼いうちに王となったギデオンの人生は、楽しいことばかりではなかったと思う。  だけど、彼は私に優しかった。  悪役令嬢という役柄ゆえ、運命に縛られて何をしても裏目に出て影話をされる私と、真っ向から向き合ってくれた。皆が広げた噂だけではなく、目に見える私だけを信じると。 「………こうしていると、あなたに包まれてるみたい」  ゆるゆると指で水面を掻き回すと、少し水の温度は上がった気がした。 「こっちへ来てくれない?膝の上に乗ってほしい」  ベッドの上に移動して両手を広げると、少しの迷いの後でその塊はゆっくりと移動して(もも)の上に這い上がって来た。サラサラしているように見えるけど、意外と弾力がある。  思い切って両手を突き刺すと、腕までがひんやりと冷やされて気持ち良い。ぐにゅぐにゅと手先でスライムのように形を変えていたら、くぐもった声が聞こえた。 「……? もしかして、感じるの?」 「………っ違う、」 「でも、また温度が上がったわ」  揉み続けていると、ぼとりと落ちた拳大の塊が太腿を滑って上へ上へと登って来た。 「っあはは!くすぐったい、やめてよ……んっ!?」  ナイトドレスの隙間から小さな断片が中へ侵入する。  なだらかな丘を登り切ると、にゅるっと先端に巻き付いた。  くにくにと胸の頂を絞り上げる塊は今や触手状になっていて、私は唇を噛んでその刺激に耐える。人肌ほどの温かさになっているためか、もう冷たくはない。 「っふ…んん、あ……っ!」  ぢゅるっと触手が敏感になった乳頭を吸う。  突然の動きに身体がガクッと震えた。 「んあっ、あぁ……ッ…ダメそれ…!」 「なんだ?怖いのか?」 「違うの…っ、きもちよくて……っんあぁ!!」  どこからか伸びて来た別の触手が、放置されていたもう片方の乳房に到達すると、尖った突起の周りをコリコリと刺激する。  見た目はまったく違うのに、その触り方はまるでギデオンと同じだ。どうにも止まらない嬌声を手の甲を押し当てて耐えていたら、太腿に載っていた巨大な塊がズルッとシーツの上に滑り落ちた。 「挿れても良いか、クロエ…?」  切ない声が聞こえて、目元を覆っていた髪の毛の束を、触手が器用に私の耳に掛けた。甘えるようにスリスリと手のひらに擦り寄るスライム状の塊に小さく口付ける。 「良いわ、ギデオン。優しくしてね?」 「………努力はする」  私は笑顔を溢してベッドの上に横たわる。  お腹の上に登ったスライムがとろっと肌の上を滑るのを感じた。
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