44 クロエ、診察を受ける※

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44 クロエ、診察を受ける※

 どうしてこんなことになったのか。 「クロエはどうも感度が悪くてね、退屈していたんだ。ここだけの話、こちらも事情があって彼女に俺の子を産んでもらう必要がある。異常がないか診てやってくれ」 「承知いたしました。何かあればお知らせしましょう」 「ああ、そのように頼むよ」  少し酒の回った顔で上機嫌に手を振ってライアスは扉の向こうに消えた。  薄暗い部屋に残された私は目の前に立つギデオンを見上げる。この城で会ってからというもの、彼はまるで他人のように私の方を見ない。王女やライアスに笑顔を向ける合間に見せる冷え切った顔に、私は恐怖を覚えた。  王家に反感を持っていた私がまだ王族と共に居ることに腹を立てているのだろうか。それとも、なかなかピエドラ王女を連れ去れないから苛立っているだけ?  沈黙を押し通す魔王は眼鏡を外して枕元に置いた。 「………ギデオン、」  そっと伸ばした手は強い力で振り払われた。  そのまま勢いを付けて私はベッドの上に押し倒される。  久方振りに絡んだ視線はすぐに外された。 「ギデオン、あなたなの……?あの…私、」 「お前は王太子の愛人になったのか?」 「え?」 「嫌な思いをさせて悪かったな。これがお前の望む形だったなんて、ガッカリだ」  そう言って大きく口を開いたギデオンが私の首筋に歯を立てる。驚いて叫びそうになるのを片手で塞がれた。 「王家も間抜けだと思わないか?ちょっと善人な男の真似をして近付けば、ホイホイと受け入れる。アイツら俺が医師免許を持った異国の貴族だと本当に信じてるらしい」  呆れるな、と言いながらギデオンは私のドレスを捲った。  露わになった脚の間に身体を入れて、ドロワーズが乱暴に脱がされる。ライアスの気持ちを盛り上げるために選ばれた下品な下着を見て、魔王は少しだけ顔を歪めた気がした。  履かない方がまだマシなのではないかと思うような、品のない割れ目の入ったショーツがスルッと足首から取り払われる。上にも揃いのレースのブラを付けていると知ったら呆気に取られるだろうか。 「………っ見ないで、」  咄嗟に突き出した手をギデオンは鬱陶しそうに払って、遠慮なくその指を蜜穴に挿し入れた。 「あっ……いやぁ、ギデオン…!」 「王太子殿下からは診察を頼まれている。彼はお前が不感症なんじゃないかと疑っていると聞いた」 「……ンンッ、あ、ダメそれ、」 「クロエ、ここが好きなんだろう?」 「っんあぁ、あ、やあぁ……っ!」  一層深く差し込まれた二本の指の腹が溢れる蜜を掻き出すように最奥を抉ると、私の身体は弓なりに跳ねた。ピッと飛んだ潮を澄ました顔のギデオンが拭う。 「どうだろうな。不感症というよりは、」 「いやっ、もうイったばかりなの、待って…!」  せめてもの抵抗で閉じようとする脚を押し開いて長い指が再び膣内を探る。手の動きに合わせて、馬鹿になった秘所からはショロショロッと水が溢れた。 「ああぁっ、またイっ……んぁ、あ、はぁっ」  四肢を震わせながら頭を振る。  恥ずかしくて、気がおかしくなりそうだった。  しかし、ぼーっとする私の前でギデオンが服を寛げて取り出したものを見て目を疑った。血管が浮き出た雄は彼の手の中で太く膨張している。 「ダメよ……良くないわ、ライアスが来たら!」 「王太子も此処でお前を抱いたのか?」 「んあぁ……っ!」  呼び掛けも虚しく、剛直は私の身体をひと突きで貫いた。  記憶の中の形と答え合わせをするみたいに、膣内はその肉塊を引き絞る。荒い息を繰り返すギデオンが眉を寄せて耐える姿にすら、私の心は高鳴った。 「クロエ…あぁ、クロエ……!」 「はぁっ、あ、ふかい……ッ…んんっ」  足首を掴まれて高く上げられた結合部を見せ付けるように、魔王は抽挿を繰り返す。何度も何度も肉がぶつかり合う音が部屋に響いて、私はこの音を聞き付けた誰かが扉を蹴破って中に入ってくるのではと気が気でなかった。  ドレスの上から柔らかな双丘が揉みしだかれる。  クリクリと先端を摘まれれば、また気持ち良くなって頭の中が白くなった。そうして徐々に朦朧とする意識を現実に連れ戻したのは、苦しげな一言。 「………っ…出そうだ、」 「いやっ!待って……!」  慌てて突き出した腕ごと強く抱き締められた。  勢い良く放出された熱が内から身体を溶かしていく。  呆然と放心する顔に何度もキスが降って来る。心が付いて行かなくて、ただただ悪いことをしているという罪悪感だけが胸の内に渦巻いていた。  ライアスが知ったらどうなるか。  彼はきっと、ギデオンを殺してしまう。 「…………出て行って…早くこの場から去って!」 「言われなくてもそうするさ。王太子には処置が上手くいったと伝えよう。お前はあの男の子を産むんだろ?」 「………っ、」 「クロエ、また会いに来る」  束の間、唇が重なって離れた。  部屋を出て遠くなる足音を聞きながら、どろっと垂れてきた白い欲をドレスの裾で拭く。震える指で先ほどまで塞がれていた秘所に触れると、まだ体温が残っているようで。
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