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「ねぇ大ちゃん。どうしたらいいかな?」
美咲が縋るような視線を向けて来る。どう答えればいいのか。どうすれば彼女を傷付けずに済むだろうか。必死に思考を巡らせるが、どうにも上手い言葉が見つからない。
「それ、直接本人に確かめたわけじゃねぇんだろ?」
「うん……」
「だったらさ、思い切って聞いてみたらいいじゃん。もしかしたら、妹とかって可能性だってあるだろ? 彼女はお前なんだし!」
「そうだけど、やっぱり怖いよ……」
不安げに眉を寄せ、大丈夫かな? と見上げて来る彼女の視線に胸の奥がズキズキと痛む。
閉じ込めていた感情が腹の底で渦巻いて、今にも溢れ出しそうになるのを必死に抑え込む。
「大丈夫だって。もし、フラれたら俺がまた慰めてやるって。なんなら、お前が行きたがってたスィーツ食い放題の店予約しといてやってもいいぜ?」
「ちょっと! フラれるの前提とか酷くない?」
「ハハッ、冗談だって。ま、俺相手にウジウジ悩んでる暇あったら、デートの約束でも取り付けた方がよっぽど建設的だと思うけどな。あぁ、そうだ……これ、やるから行って来いよ」
わざと揶揄うような口調で言いながら、近くに置いてあったカバンの中からカラオケの割引チケットを取り出して渡してやった。
「えっ、二人で行けって事?」
「それ以外に何があるんだよ。密室で二人っきり。さっき俺にやったみたいに乳押し付けて甘えてみろよ。案外上手くいってイチャイチャ出来るかもしれないだろ?」
「ちょ、大ちゃん! 何言って……っ」
「何想像してんだよ。やらしーなぁ」
「なっ! ちがっ」
顔を真っ赤にして狼惑う美咲をからかいついでに小突いてやると、彼女は更に耳まで真っ赤に染めて俯いてしまった。
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