水溜まりの罠

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 目が覚めた。  窓からは明るくも優しい光が差し込んでいる。朝が来たようだ。  こうして光が差し込んでいる様子を見ると、雨は既に止んだのだろう。  俺は朝食を取り、身支度を整え、宿を出る。  町中を見渡すと、水溜まりだらけだ。  あの音だと本降りだったようだし、当然のことだろう。  それでも、洪水にならなかったのは幸いである。  空を見ると、雲が所々にあるものの、晴れている。青空は美しく、太陽はまぶしい。  俺以外の人間も目を覚まし、いつも通りの生活を送っているようで、何人もの人々が町中を行き交っている。  目の前を一人の若い女性が通り過ぎる。  女性が進む先には、水溜まりがある。  ぴちゃっ。  女性は水溜まりを避けずに、踏み抜いた。  すると、どうだろう。  女性は水溜まり吸い込まれ、悲鳴を上げることなく、落ちるようにして消えてしまった。 「なっ!」  なんということだろう。町中でこんなことが起きていいのだろうか。町は基本的にやすらぎの場だぞ。しかも、人のくるぶしにも及ばない水溜まりで溺れるなんてことが、あるのだろうか。 「はっ!」  もしや、これも魔王の仕業だろうか。  魔王の力は神々にも匹敵するといわれているし、不思議ではないかもしれない。 「魔王め、絶対に許さん!」
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