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「…………」
今度もゲームオーバーだった。
だが、前回とは状況が違う。
雨が降らなかったのだ。
その一方で、魔王が急襲してくるところは、同じだった。
今回は水溜まりがない。
だから、魔王が水溜まりを踏んで自滅するようなことは、なかった。
ドジを踏まなかった魔王は強い。
剣技や呪文は言わずもがな、口から吐く炎、目から放たれる怪光線、角からの電撃、尻からの毒ガス等、あらゆる攻撃が苛烈で凄まじかった。
現時点での勇者のレベルや装備では、勝てなかった。
死んだのは勇者だけではない。
戦いに巻き込まれた住民も、犠牲になった。しかも、多数。
特に毒ガス攻撃は範囲が広く、最も多くの犠牲者が出た。
毒ガス攻撃は、ダメージを食らうだけではなく、継続的なHPの減少や、麻痺、混乱といったステータス異常を起こすので、この攻撃には大いに苦しめられた。
ちなみに、毒ガス攻撃で死に損ねた住民は、倒れてヒクヒクと痙攣したり、焦点の合わない目で空を見上げつつ、よだれと小便を垂れ流しながら、その場にへたり込んだりしていた。
「……こんな奴、勝てねえよ」
運ゲーなのか? これは。
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