クソゲー

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 気を取り直して、さらにもう一回。  今回は、雨は降ったが、魔王の襲撃はなかった。  だが、朝になって雨が止み、住民が外を歩き始めると、水溜まりに落ちて消える人が続出。  魔王が襲撃してこなかった場合、展開が異なるらしく、さらに先にある港町に進むことになった。  だが、ここで問題が発生した。  港町から先に進むためには、船を手に入れる必要があるのだが、故障していて動かない。  修理するために職人を連れてくる必要があるのだが、職人は湿原近くの町にいる。  ……はずだった。  湿原近くの町に戻って職人を探したのだが、全然見当たらない。  どうやら、先程の雨でできた水溜まりに落ちて消滅したらしい。  現に町の住民が次々と水溜まりに落ちて、消えていたし、再びこの町に来た時には、住民はわずかしかいなかった。 「……詰んだ」  船を修理しないと先に進めないし、修理できる人物は消えている。  ゲームオーバーよりも状況が悪い。  これ以上やり直す気力が起きない。  ゲームを中古で売りたいという衝動に駆られたが、ダウンロード購入したものだから、できない。 「なんなんだ!! このクソゲーは!!」  ゲーム機をクッション目掛けて(たた)きつけるようにして投げる。 「ぶっ!」  クッションの弾力によって跳ね返ってきたゲーム機が、俺の顔面にぶち当たった。
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