4 AIの意義と用途

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4 AIの意義と用途

e76e58a7-3567-4193-ace1-75c3dea27f27 従来は人間にしかできなかった知的活動の本質的部分、 すなわち一般法則の発見と応用による課題解決を、 機械が支援・代行できるようになるというのは、 全く新しい分野を開拓する技術革新です。 しかも、電算組織(コンピュータシステム)の演算・記録・通信能力は高いので、 その学習能力は人間よりも桁違(けたちが)いに大量高速であり、 同様の事例があれば忘れることなく迅速的確に法則を適用し、 学習内容を他の電子頭脳に広めることも簡単確実です。 小規模電力を集めて広域安定供給するにはどうしたらいいか? どうすれば必要な性質を持つ物質を見つけて、作れるか? 事故や渋滞を防ぐため、どう運転や交通を制御したらいいか? ある内容を他の言語で伝えるには、どう翻訳したらいいか? 人間同様の仕事ができるロボットを、どう作り動かすか? 顧客満足と収益を増すには、どんな商品や販売法がいいか? 人々の心を満たす絵画や音楽、文学作品をどう作ればいいか? 人々の生活や健康の改善のため、どんな助言をしたらいいか? 難病を治すため、どう新薬製造や遺伝子治療を行えばいいか? どうすれば子供達の個性に応じ、進んで学ぶ教育ができるか? 国民の満足度を高めつつ行政費用(コスト)を下げるには、どうするか? それらに必要な法則を発見・適用して課題を解決するのです。 こうした機能を持つ人工知能は、 人智を越えて拡大・複雑・加速化し続けていく 技術や政策、経済・社会活動という文明活動を 運用していくうえで、必須の技術だと思います。 想像力(イマジネーション)創造性(クリエイティビティ)といったものが、何か人間に特有の 神秘的な属性であると考えてきた私達にとって、 それが機械で再現でき、さらにはより良く行えるというのは、 自己同一性の危機(アイデンティティー・クライシス)さえ招きかねない衝撃的な事実です。 しかしそうした、人間が特別な存在であるという見方もまた、 私達の自己保存本能からくる認識の偏向(バイアス)なのかもしれません。 実際にAIは今、これまで人間にしかできないとされた 様々な仕事で、大きく活用され始めています。 そもそも生物とは、太古の地球で生まれた有機分子が 時々(ときどき)の環境に応じ変異や淘汰を繰り返してきたものにすぎず、 悠久(ゆうきゅう)かつ広大な大宇宙にあっては、流れに生じては増え、 消えてゆく泡沫(うたかた)のような存在にすぎないのかもしれません。 私達は、人間もまた高度な知性を持つとはいえ、 一定の自然法則に従う生物の一種であり、 その活動は技術によっても代行できるのだと認める 謙虚さをもつべきであろうと感じます。 そのうえで今のところ、高等知的生物は私達だけである以上、 AIを使い損ねて失敗しないよう自分達をも高めつつ、 創った技術はあくまでも私達自身のために活かすのだという 開き直り(笑)、あるいは覚悟を持てばいいのだと思います。 この作品の表紙や、挿絵の多くもAI生成ですが、 そのAIや画像を作成した方々も、また私自身も、 AIを活用した人間の幸福を求める人間です。 AIは人間の代替者ではなく、代行手段とすべきでしょう。 人間の二大特性である限りない想像力(イマジネーション)欲求(ニーズ)は、 知性と人間性を通じて、技術と政策を生みました。 f53fb74a-460c-4b04-b4c3-62f6725cbed4 合理的推論から完全な空想に及ぶ広義の想像力は、 経済・社会活動を助ける自然科学的技術と、 制度・政策を助ける法律概念や貨幣価値といった、 制度的擬制(フィクション)を含む社会工学的技術を可能にします。 技術により複雑化した社会活動は本能だけでは営めず、 人間の欲求を可変化・多様化します。 するとさらに、無制限化した人々の欲求は、 現技術下で経済・社会活動を助ける利害調整政策と、 その限界を突破するため科学・技術を助ける 新技術導入政策を必要とさせます。 そうした技術と政策による文明発展の中で、 少なくとも現在のAIは想像力(知性)と 技術の部分を代行支援する手段にすぎません。 生存本能を中心とした多様な欲求(人間性)や、 それに基づく政策目的の最終決定はあくまでも、 人間自身が担い続けるべきものでありましょう。 845411e4-5463-472d-9e34-e33f7c1a85bd
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