6 AIと文明

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6 AIと文明

63f3c9dc-e519-46e3-92d5-5b2ec4046000 技術と政策が社会活動を助ける〝文明の構造(システム)〟は、 技術→経済・社会→政策→技術……の順で変化する、 〝文明の循環(サイクル)〟を生み出します。 そこでは、ある技術(文明)段階で利害調整政策を 極めたら、その限界を越えて発展するために、 次世代技術の導入政策が不可欠となります。 農耕は文明を生み、動力機関は文明を世界に拡大し、 電算による文明活動の効率化は 地球的限界への到達による衝撃を緩和しましたが、 人類はまだ惑星上における持続的発展を見通せていません。 61489373-ec69-484a-b828-b5f7589d12e9 また〝文明の循環(サイクル)〟を重ねて、技術にできることが増え、 社会が豊かで複雑になると、政策がすべきことも増えます。 そこでは富の生産と配分に加え、人の向上と活用も重要になる という、〝文明の潮流(トレンド)〟が生まれると考えられます。 かつては灌漑や軍事など、富の生産・安全のための 技術的政策が国の主要な政策でした。 それらに伴う開拓や戦争においては、 人間や制度の淘汰もあったことでしょう。 その後社会が豊かになると、富の配分・投資のための 経済・社会政策も重要になりました。 そこで行われた産業振興や社会事業は、 保健・教育の向上や制度の改善にも役立ちました。 しかし今では地球の限界、社会活動の全地球化と複雑化、 生活水準の向上、武器を含む技術の強力化などにより、 従来の政策だけでは代償が過大、効果も不足となり、 より直接的な人間の向上と協力の増進も必要です。 そのため今後は介護・疾病予防や次世代育成、生涯学習など、 人の向上・支援のための人的資源政策や、 人間に残された最後の仕事となる政策の選択すなわち、 人の活用・参画のための行政管理政策も重要になるでしょう。 そして人類は今まさに、全地球的な資源・環境問題、 経済・社会の複雑化による利害調整困難、 社会的含む健康水準の経年・経代的低下、 政策の広域化と分権化の必要性という、 4つ全ての政策分野で持続可能性の課題に直面しています。 9ad58bce-52bd-41a5-aa38-f5314af331c4 一方、画期技術AIを中心とした次世代技術は、 ① 新素材・新エネルギー、IoT(インターネット・オブ・シングス)とビッグデータ処理、 知能ロボット、生物工学(バイオテクノロジー)、先進医療・教育などの技術を通じ、 ②機械を自然環境に優しくし、人体を修復・改善するなど、 人工物・自然物間の障壁を除いて双方の持続可能性(サステナビリティー)を高める、 ③体内環境含めた自然・社会環境に優しい技術です。 また、それらは④ 技術的、経済・社会、人的資源、 行政管理という全ての政策における課題の解決に役立ち、 ⑤環境(=技術)、経済、(人間含む)社会、政策の 全ての分野において文明の持続的発展を実現できる技術です。 そして、⑥以上を一言で表現すると、〝環境親和技術〟 または〝持続可能性技術〟と呼ぶことができるでしょう。 そこで今では国連が、各国や自治体に加え、 会社や市民にもSDGs(エスディージーズ)への参画を呼びかける一方で、 そのためのAI社会構築に向けたDX(デジタル・トランスフォーメーション)が 求められているのだと思います。 7985a697-f3fd-46ac-ab4c-7c858a0a1a57 環境と生物の相互作用という生物学的視点から見ると、 人間は文明活動を通じて環境と関わり合います。 社会のために自然・社会環境に働きかけるのが技術、 環境変化に対する社会の自己制御が政策といえます。 4e968bed-55fb-4964-a238-ec900ba28fc9 自然・社会環境にはそれまでの自分達の活動も含まれるので、 AIは人智を越えて複雑化した現在の文明活動=環境に対し、 今後の文明活動を自動最適化することで人間の頭脳を助け、 政策的自己制御による持続的発展を(かな)える技術といえます。 地球上での持続的発展は将来の本格的な宇宙開発という、 次なる文明段階への発展にも役立てられるでしょう。 AIを中心とした次世代技術と、 それらを活かす総合政策に期待します。 d807572b-80ed-41d1-b755-caf573583feb
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