離縁できるまで、あと六日ですわ旦那様。③

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「──っ、怖くないのか? 異形種だぞ?」 「あら、神獣の始祖返りは名誉なことと聞きましたわよ。それに私はどうやらこの姿のドミニク様も魅力的だと思いますわ」 「み、魅力? 私の姿を見て目が可笑しくなってしまったのだな。すまない」  そう口では言っているけれど、私の手に掌を重ねてきた。私から触れた場合は、ドミニク様も触れられるようになるのね。  手が重なり合うと温かくなる。私のことを少なからず好意的に思っているのが、なんだか嬉しい。キュンキュンしてしまうのは、ここ数年夫婦でありながら甘い感じがなかったからだと思う。それに……どうやら私はドミニク様の熱のこもった眼差しに弱いようだ。 「ドミニク様。ドミニク様にも複雑な事情があるのは理解しましたが、どうして打ち明けていただけなかったのですか? 方法なら直接でなくとも手紙に……」 「手紙に呪われていることを書き記した途端、爆破した」 「爆……なるほど。本来の姿を見せて拒絶されるぐらいなら……という思考回路に至ったのですね」 「……そうだ。少なくとも……それであれば君を繋ぎ止められるし、傍にいてくれると……先延ばしにしていたのだ」  絞り出す声に胸がチクリと痛んだ。 「離縁……の件は後回しにするとして、まずはドミニク様の呪いを解くのに協力しましょう」 「離縁はしたくない……しない」  頑なな態度に、クスリと口元が綻んでしまった。  意地っ張りな方だわ。でもドミニク様のお心に触れられてよかった。……離縁したい気持ちはまだあるけれど、今はドミニク様の回復が先ね。解呪で最も有名なのは、やっぱりアレ。物語でもこの世界でもお決まりの解決方法!  つまりキス! 「ドミニク様。呪いを解く──可能性のある方法を試してもいいですか?」 「え、あ、ああ」  若干と言うかかなりハードルが高いけれど、愛する者からのキスの効果は絶大。特にこの世界では呪いよりも愛の思いが勝る。と言うことなので、いざ!  そう思って勢いを付けたのが不味かった。 「!」 「!?」  ゴチン──。気合いを入れすぎて起き上がったため双方の額がぶつかり合う。痛いし、すっごく恥ずかしい! 「すまない」 「私の方こそすみません。……目測を誤りました」 【目測? 急になぜ起きあがろうと? いや私の顔に向かって何かしようと? 呪いを解くとも言っていたな。まさか私にキ……イヤイヤイヤイヤそんなはずはない。そんな都合のいいことなど……】
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