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「フランカに嫌われたくなかったから。この外見は人によって反応が二極化する。呪いを受ける前は不安定だったから、仕事のストレスで角や尻尾が出ていたしな」
「……だから結婚当初から半年ぐらいは、会えなかったのですね」
「ああ。……精神も不安定だったし、姿も無意識にこの姿に戻っていた……君に説明する勇気が当時の私にはなかった。竜人の恋は一度だけ、だからこそ慎重──いや臆病になった……」
語尾が弱々しくなるのも可愛いと思ってしまう。……って、完全に絆されているわ!
ドミニク様が仕事をしているのだから、私も離縁回避の妥協点を考えるべきよね……むう。できれば机に向かって書き出したいけど、旦那様は私と離れるのを嫌がるし、使用人たちも「ぜひ傍に!」と目を輝かせて言われてしまっては断り辛い。
仕方がないので思考をフル回転させて、思考の海に身を投げる。
まず私はパティシエールになりたい。これは譲れない一線。とはいえ、それ以外は解決しつつある。やっぱりドミニク様がどこまで許容してくれるかよね。
私がレシピを考えて、料理人に作ってもらうのは抵抗がないけれど、自分で作りたい。
スイーツ作りは絶対。
元々の計画は自立してパティシエールになることだったけど、公爵家を出ないのなら私が作ったスイーツをお店に出すことは可能。
公爵家の厨房の設備も問題はないわ。
ドミニク様──旦那様の「赤の他人に妻のスイーツを食べて欲しくない」この一点が厄介よね。竜人の習性としては独占欲が凄まじいという話から聞くと、妥協点しているのだろうとは感じる。
んー。詰んでいるとまでは、思いたくないけど。赤の他人は駄目だけど、顔見知りのお茶会は良いって言っていたわよね?
全く駄目ってわけでもないし、顔見知りなら妥協できる。まるでアレね。一見さんお断りみたいな──。
「あ」
「フランカ?」
一見さんお断りのお店!
もしくは特別会員かつ王侯貴族完全予約制なんてどうかしら!?
これなら旦那様が許可した方のみの相手にだけ提供するし、ブランド力も確立できるわ。でもそうなると、市井相手じゃなくなるのよね。うーん、使用人たちにも手の届くようなスイーツも……それなら一般用と王侯貴族用の二種類の会員プランを作れば良いんじゃ?
あくまでも入り口はドミニク様が許可した──という前提で、一般会員と特別会員これなら品揃えや材料費、スイーツの種類などの差別化もできる!
そうだとするとレシピを一から練り直す必要があるあるけど、うん、いいわ。悪くない!
あとはもっとドミニク様への表現提示だわ!
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