離縁できるまで、あと六日ですわ旦那様。①

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 ロータスには悪いけれど、全く信じられない。  だって愛を告げられたことだってないし、会話も基本的に仕事関係のみ。最初の頃は私だって頑張って声をかけたわ。好きな物が何かだって聞いたし、視察のついでにデートのお誘いだって……でも、旦那様はいつだって「ああ」とか「そうか」とか「ダメだ」というほぼ三択の返答!  肉体関係だってない清らかな間柄だもの。  でもこれでは平行線だわ。 「わたくしの言葉でも信じられないと思いますが、事実なのです。これは最後の手段でしたが……奥様、失礼します」 「え?」  そう言うなり、ロータスは素早く私の腕に青の宝石付きのブレスレットを着けた。デザインもお洒落でとても愛らしい。しかしこれは一体?  最後の手段とは? 「これを装着したまま旦那様にお会いして頂きたいのです。旦那様は奥様の前ですと言葉数が極端に少ないのですが、それは決して奥様を愛していないわけでも、蔑ろにしているわけではなく……。旦那様は……」 「旦那様は……?」 「ものすごく愛情が重く、それを制御しようとした結果、様々な要因がかかり……あんなことに……くっ、お労しい」 「お労しいのは、愛されていない私では? どうして旦那様が被害者側なのか理解出来ませんわ」  話を聞いているうちに何だかロータスの口車に乗せられてしまい、渋々お茶をすることを了承してしまった。まあ、侍女に荷物をまとめさせている間、私はやることもないのでよしとしよう。  思えば旦那様とお茶をするのは久し振りだわ。  あの鋭い視線に射貫かれてのお茶会。少しだけ怖かったが、これを乗り越えれば離縁できると自分を鼓舞した。  ***  雰囲気を少しでも良くしようと考えたのか、中庭のガゼボに案内された。幻想種の一つ青のカーネーションが咲き誇っていた。淡い青の花はとても美しく、思わず溜息が漏れた。 「こんなところがあったなんて知らな──」 【ああ……どうしよう。彼女が来るというのに、考えがまとまらない。どうしてこうなってしまったのだろうか。しかしこれ以上、私の秘密……あの醜態を晒せば、……いやだがこのままでは離縁……っ、いやだ、絶対に離縁はっ……】 「ん?」  んんんん!?  凜とした聞き覚えのある声なのだが、その声は脳裏に直接聞こえてくる。不思議な感覚だが、これがロータスの言っていたブレスレットの能力?  もしかして旦那様の心を読む魔導具?  また国宝級の物を持ち出してきたわね。……公爵家コワイ。
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