離縁できるまで、あと六日ですわ旦那様。②

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【い、言えない! 王太子の馬鹿に届いた手紙が私の机にあったので、不用心にも封筒に触れた──なんて!! 『もしかしたら妻かな?』なんてうっかり喜んでいた私の馬鹿!! 仕方ないじゃないか。決算繁忙期で忙しかった上に横領が次々に出てきて、それらの対応が重なって……三徹だったんだから……】  なっ……なによ、それ。  思ったよりも可愛い理由で呪われたの!? わ、私の手紙を浮かれていたなんて……。べ、別に嬉しくなんかないわ。今さらよ。……そう言えば二年前から財務で不祥事があったからと、王城に寝泊まりしていたわ。それに何度か夫に手紙を送っていた……。だから気が抜けて手紙に触れてしまった?  あの頃は忙しいドミニク様に寄り添おうと、流行の便箋など買っていたわ。呪いにかかる要因が私にも少なからずあった……。そういえばしばらくは手紙を控えてほしいと、ロータスが気まずそうに言っていたわね。  当時は煩わしいと思われて……凹んだわ。  本来なら些細なこと。でも私たちは会話を持つ機会を作っても、私が一方的に話すだけで、会話になってなかった。自分では歩み寄っていたとは思う。でもあの時から呪いを? そうだったとしても最初の一年はそこまで忙しくなかったわ。……あれ、でも確か視察の帰りに体調を崩して、領地で静養をしながら仕事をしていた……ような? 「呪いは……手違いで……受けてしまったのだ」 「もしかして……私が呪ったと疑ったのですか? だから距離を置いていた?」 「違う……」 「他に隠していることはありません? それとも呪いのことがあって、私と距離を置いたのですか?」 「それは……」  グッと下唇を噛みしめ、言葉を濁す。そのままじゃ口の端を切ってしまいそうな勢いだわ。んー、心の声は阿鼻叫喚の叫び声で要領を得ないし……。もはや心の声を聞いても推理小説並の洞察力と観察眼が必要になるなんて! 【()()がバレたら……妻に嫌われる。でもこのままじゃ本当に離縁されてしまう。そんなの嫌だ。でも()()を見て治癒士、修道女はみな悲鳴を上げて卒倒した。もし、……妻も同じように、蔑むような目で、怯えて、拒絶するようなら、隠したままのほうが! 離縁はしない。したら死ぬ自信がある。……だがそれを打ち明けなければ、魔女の呪いも解けない……。魔女の呪いを解くには妻の協力が必要不可欠。だが……あー、ううう】
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