第2話

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 最初はオリヴィアはこうした行為には抵抗があったが、それもそのうち消えてしまった。ギルドで稼ぎつづけるには、こうした横のつながりも大事なのだ。  男は言った。 「悪いことは言わねぇ、ちゃんと女を誘って、しっかり機嫌をとれよ」  オリヴィアは頷く。  ほんとうに、ちゃんと誘って、しっかり機嫌を取られてみたいものだ。オリヴィアはむしろちゃんと誘って、しっかり機嫌を取っている側だ。  オリヴィアは肩を落とす。 「でも、その機嫌を取るお金がない……」  セオドアの機嫌は5カードゥだ。高い。高すぎる。  叙勲のパーティのことを考えると、今月はあと6カードゥ必要になる計算だ。  気の毒なものを見るように、男はオリヴィアを見た。そして「坊主なら、いけるんじゃねぇか?」と言った。 「なになに? 何の話?」  オリヴィアは男が何か金になる話をしだす気配を感じ、耳をぐっと男に寄せた。 「ほら、サイン通りでさ、夜になると女が立っているだろう? あれ、私娼ってんだ」 「ししょう」
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