第3話

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 結婚さえしてしまえば、母と父は田舎に引っ越すはずである。となれば、無理に仲良くする必要などない。セルジオとは白い結婚になるだろう。  つまり、いまオリヴィアが体を売ったとしても、それが将来自分に悪影響を与えないのだ。  オリヴィアはすました顔を作って、彼女たちの列に加わった。  ひとりの女がオリヴィアを見てくすくすと笑う。 「どこから来たの、お姫さま。そんな服着て」  そう言われて、オリヴィアは自分の服を見る。白のレースがついたブラウスの上に黄色いワンピースだ。春らしくて気に入っているのだが、なにか変なのだろうか。  そう思い回りを見渡すと、確かにそこに立っている女性は皆短いスカートに胸元の大きく開いたブラウスを着ていた。 「あの」  オリヴィアが何か言おうとした瞬間、男がやってきて隣の女性に声を掛けた。 「おう、ローズ。いけるか」 「あんた。今日も来たのかい」 「今日はいくらだ」 「いつも言ってんだろ。あんたから見て、あたしの価値はいくらなんだい?」 「財布の中身全部さ」
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