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2人は腕を組んで歩き出す。オリヴィアはその2人をじっと観察する。男は腹が出ていて、赤ら顔だ。シャツにシミもある。笑うと前歯がないのが見えた。しかし、女は笑顔で男の腕に頬を寄せる。
オリヴィアはそれを見て嫌な気持ちになったが、5カードゥか、それ以上の報酬は魅力的だ。彼女は胸元のボタンに手を伸ばした。
その時、路地に大きな悲鳴が響いた。つんざくような女の悲鳴だ。
そして何人もの足音。怒声も聞こえる。騒ぎは悲鳴とともにこちらに向かっている。
「摘発だ!」
「私娼狩りだ!」
「警察だ!」
女たちは口々に叫んで蜘蛛の子を散らしたように逃げていく。
「え? え?」
事態が飲み込めないオリヴィアであったが、逃げなくてはいけない気がして足を動かす。しかし動転して速く走れない。
転びそうになりながら闇雲に足を動かす。
角を曲がった瞬間、人影にぶつかった。
「おっと……!」
「きゃあ!」
地面に尻もちをつく。顔を上げると、そこには肩幅の広い男が立っていた。
彼は慌てて膝を折ると、オリヴィアに手を差し出す。
「大丈夫かい、嬢ちゃん? 悪かったな」
「あ、え、えと」
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