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それが、金を積むから仲のいいふりをしろ、と言われて、興味を持った。
いまでは、彼女が俺にしおらしく頼むのなら、金とは関係なく出かけてやってもいいとさえ思っている。
しかし、オリヴィアは一筋縄ではいかない。
彼女はきっと顔をあげると、セオドアの条件を飲んだ。
「わかりました」
セオドアは動揺した。
オリヴィアの家には使用人はいるが、オリヴィア専属のメイドもいないほどに貴族としては困窮している。
前にちらりと聞いた話では、月に10カードゥの小遣いがあるだけで、宝石を持っているわけでも事業展開をしているわけでもない。
そんな彼女に、今回だけならまだしも、今後ずっと会うたびに20カードゥを支払えるわけがない。
――なんで泣きついてこないんだ……?
それどころか、涼しい顔をしている。セオドアは思い通りにならないオリヴィアにますます苛立った。
*
「あのばか男!」
セオドアを追い出したあと、オリヴィアは寝椅子に倒れ込むと、思い付く限りの罵詈雑言を並べ立てながら拳を握ってあちこちを叩きまわった。
「あほ! 金の亡者! 最低男! 女の敵! 愚か者!」
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