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そして少し冷静さを取り戻したあと、仰向けになって息を吐いた。天井を見上げて自分に言い聞かせる。
「落ち着きなさい、オリヴィア。怒っても無駄よ。1カードゥにもならないわ。いまは稼ぐことに体力を注ぐのよ」
――20カードゥ……。
気の遠くなるような額だ。
オリヴィアの月の小遣いが10カードゥ。
今月は卵祭りに5カードゥ、花束に1カードゥ支払った。男から治療費として10カードゥもらい、手元には合わせて14カードゥある。
つまり、あと6カードゥ足りない。
オリヴィアは唾をごくりと飲み込んだ。
――やるっきゃない!
その夜、オリヴィアは再びサイン通りに立った。
初めての夜の成功が、オリヴィアの気を大きくさせていた。
彼女は前回とは違い、黒いワンピースを着ていた。普段なら下に長袖のブラウスを着るのだが、今夜は大胆に一枚で着ていた。私娼たちはそんなオリヴィアを胡乱な目で見ている。
オリヴィアは今日こそしっかり私娼として稼ぐつもりで意気込んでいた。
しかし、そううまくもいかないものだ。
何人か、オリヴィアに興味を持った男はいた。
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