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第5話
中には具体的な値段を提示する者もいた。
しかし、そのいずれも、他の私娼たちが横からかっさらっていってしまう。
「あの子、訳ありっぽくてさ。めんどうに巻き込まれるよ。やめときな」
「私の方が慣れてていいご奉仕するわよ」
「あんな貧乳のどこがいいの」
オリヴィアは私娼たち好き放題に言われてしまったが、どれも事実なのでオリヴィアは口を紡ぐしかない。
男装をはじめたときは自分の出るとこ出ない体型を誇らしく思ったものだが、いまはそれがうらめしい。
オリヴィアは私娼たちの豊かなそこを横目にハンカチを噛んだ。
*
オリヴィアはしばらく路地に立っていたが、夜も遅くなり、人通りがまばらになってくると、ついに白旗を上げた。
「くっ……無念だわ……」
オリヴィアは路地で客を取るのをあきらめ、酒場の近くに移動することにする。私娼たちの会話を盗み聞きしたところ、酒場の近くでも客がとれるようだった。
酔っ払いの相手は大変だろうとは思うが、背に腹は代えられない。なんとしても、不足する6カードゥを稼がなくてはいけないのだ。
その道中、見知った顔の男を見つけた。
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