第5話

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 艶のある黒髪、水色の瞳。均整のとれたすらりとした手足。  こないだオリヴィアに治療費として10カードゥをくれた男である。 「あ、10カードゥさんだ」  オリヴィアはその男をそう呼んだ。彼の名前を聞きそびれたのだ。  彼は酔いつぶれ、何人かの男たちに介抱されている。 「もう、誰だ団長にこんなに飲ませたの」 「祝いの席だからってやりすぎだぞ」 「いやー、まさか団長が酒に弱いなんて」 「ははは。人は見かけによらないもんだ」  オリヴィアは男たちに近づくと、ひとりの袖を引いた。  彼女の頭にはいい案が浮かんでいた。  男のひとりが振り返ると、オリヴィアは迷いなく言った。 「その人、私のお客さんです。私が宿に連れ帰ってもいいですか?」 「え!?」  それを聞いた男に衝撃が走る。 「なんだ?」 「アシャー団長が女を予約してたって……!」 「ええ!?」 「ええええええ!?」 「団長、女に興味が!?」  ざわつく男たちを無視して、オリヴィアは地面に座り込んでいる「10カードゥさん」の肩を叩いた。 「こんばんは。私のこと、わかりますか?」  男はのろのろと顔をあげる。そして、小さく言う。
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