第5話

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「あんた……あの……」 「今日も私のこと、買ってくれますよね?」 「10カードゥ……払った……」 「今回も10カードゥで買ってくれるんですね! ありがとうございます!」  2人の会話をかたずをのんで見守っていた周りの男たちは、商談が成立したことを悟ると、顔を見合わせたあと、祭りだ祭りだと大騒ぎした。  そして酔いつぶれた男を連れ込み宿に叩き込み、オリヴィアに手を振って去って行った。 「じゃあ、ごゆっくり~」 「団長おおお……女なんて……俺は、俺はぁ……!」 「はいはい。飲み直すぞー」 *  翌朝、オリヴィアが朝起きると、男が連れ込み宿の床に額をこすりつけていた。  男が言う。 「……昨日、何があってこうなったか覚えてないんだ……! 俺はなんということを!」  寝起きのオリヴィアは男のつむじを見て、それからゆっくりと昨夜のことを思い出す。  昨夜、男はついに目を覚ますことはなかった。オリヴィアは何度か彼を起こそうと水をかけたり、頬を叩いたりしてみたが、どれも効果がなかった。  男は深く眠っていた。オリヴィアはその寝顔があまりにも気持ちよさそうだったので、起こすのをあきらめた。
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