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「そうか。それで、俺たちの結婚はいつになる」
オリヴィアは目を丸くする。
「結婚」
「なんだ」
「わかりません」
セオドアは鼻を鳴らす。
「まあ、そっちの家が主導する話ではないからな」
彼女はぽつりと言った。
「そうか。私たち、ほんとうに結婚するんですね」
「なんだ、今更」
オリヴィアはため息をつく。
「困りましたね。結婚式の間、あなたの機嫌をとるのにいくらかかるんでしょうか」
その言葉はセオドアの機嫌を逆撫でした。
それではまるで、セオドアが自身の結婚式で無礼をはたらくような男のようではないか。
セオドアは苛立ち、勢いよく窓をあけた。
大きな音に驚き、オリヴィアがびくりと肩をゆらす。
それを見て、少し胸がすく。
そう、こんな下位貴族の女など、セオドアの機嫌をうかがって怯えているくらいでちょうどいい。
セオドアは意地汚く笑うと言った。
「……少なくとも……こんなはした金では無理だな」
そうして、窓からオリヴィアが渡した20カードゥを投げ捨てる。
それはばらばらと落ち、馬車の後方へ消えていった。
セオドアは注意深くオリヴィアを見た。
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