第10話

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 セオドアはオリヴィアと婚約破棄になった。オリヴィアは好機とばかりにセオドアに金銭を巻き上げられていたことを告発し、大騒動になった。  事実関係を明らかにするための裁判ではオリヴィアが男に扮してギルドに出入りしていたことと、あの日王宮へ向かう2人の馬車から20カードゥがばらまかれたのを見ていた人物がいたことでセオドアが一気に不利に傾いた。  新聞は問題児セオドアの新しい醜聞を面白おかしく書き立てた。  裁判中、セオドアは何度もこう言った。 「私たちの関係には、金以外のつながりもあったはずだ」  その言葉を聞いたときは、思わず吹き出してしまいそうになった。 「そんなつながりはなかったわ」  要するに、金づるである私と、親の信頼を失いたくないがために言っているのだろう。  裁判ではセオドアは脅迫罪が認められ、オリヴィアに慰謝料と受け取った金の返金が命じられた。  そして、セオドアはとうとう伯爵に勘当され、遠くの修道院に身を寄せることになった。  贅沢好き、華やかなことが好きな彼にとって、これはつらい処分だろう。  オリヴィアは手元に戻った金を見てご満悦であった。 *
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