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第11話
そして。
「オリヴィア、行くぞ」
「はい」
今日は結婚式だ。私は笑顔でアシャー・コーンウォリスの手をとった。
その夜、オリヴィアはアシャーが寝室にやって来て度肝を抜かれた。
「え? ど、どうしたんですか」
「どう、とは」
「なんで来たんですか」
「今夜は初夜のはずだが?」
「え? え?」
「は?」
オリヴィアは困惑した。
実のところ、オリヴィアはなぜアシャーがオリヴィアと結婚したのか、よくわかっていない。
いつだったか、オリヴィアに10カードゥを渡した時、アシャーは「乗りかかった船」と言っていた。
責任感があるアシャーのことだから、知り合ったオリヴィアの窮状を知って、助けることにしたのだと勝手に思っていた。
アシャーはオリヴィアの様子から、お互いの間に勘違いがまだ残っていることに気が付いた。
「あんた、もしかして俺がその辺の女を助けるために、適当に結婚する男だと思っているんだな」
「ちがうんですか……? まさか、助けた代金を請求するつもりじゃあ……」
オリヴィアの台詞を聞いて、アシャーは盛大にため息をついた。そしてがしがしと頭を掻く。
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