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そんなオリヴィアたちを見て、母はすっかりふさぎこみ、ついに寝込んでしまった。
「裕福な家に産んであげられなくてごめんなさい」
そんなことを言って悔し涙を流す母を見て、オリヴィアはセオドアに取引を持ち出したのだ。
「仲のいいふりをしてくれたら1日5カードゥ払います」
オリヴィアの月の小遣いは10カードゥである。もちろん、この金の出所はめぐりめぐってオリヴィアの家に支援をしている伯爵家なのだが、セオドアはあの事件以来、自由になる金がほぼ無く、すべて親の管理下にあるということだった。
だから、セオドアは簡単にその取引にのってきた。
それ以来、母の前で何度もセオドアにオリヴィアに惚れているふりをさせた。
仲良くなったオリヴィアたちを見て、母の体調は一気に回復した。
オリヴィアは母のため、金策に奔走することになったのであった。
*
「お金が、ない……」
オリヴィアは自室で小遣い帳とにらめっこしたあと、そうつぶやいて机につっぷした。
うららかな春の日差しが部屋に差し込んでいる。
しかし、そんな天気とは裏腹に、彼女の財布には寒風が吹いている。
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