第2話

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第2話

 ――今月は花祭りに、それから卵祭りに……ああもう! なんでこんなに恋人のためのお祭りが重なっているのよ! 誰よ考えた奴! そんなにいらないわよ!  心の中で悪態をつく。金がないと心がすさむものだ。  とはいえ、悪態をついても金にはならない。金は稼がなければ手に入らないのだ。  今月は花祭りと卵祭りで10カードゥで足りる見込みだったというのに、花束代金として1カードゥ支払ったことで1カードゥ足りなくなってしまったのだ。 「仕方ない、今日もあれに行くしかない……!」  オリヴィアはそう言ってクローゼットの奥に隠していた男装用の服を取り出した。  「あれ」とはギルドで仕事を受けることである。男爵令嬢である世間知らずなオリヴィアにできる仕事は少ないかと思われたが、意外と世の中は仕事であふれていた。  貴族別宅の草むしり、犬の散歩、子どものお守り……。  オリヴィアはたくさんの雑用ともいえるそれらを淡々とこなした。無論、それらをしたところで、稼ぎは微々たるものである。 ――でもでも! 塵も積もれば山となるんだから!  そして、山となった金はセオドア課金に消えていくのだが。
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