第2話

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 そこまで思って、オリヴィアは肩を落とした。  貧乏貴族のオリヴィアの家にはオリヴィア付きのメイドなどいない。  彼女は簡単に家を抜け出し、まっすぐにギルドに向かった。  そこで掲示板を睨みつける。  今の彼女は長い髪をひとつにまとめて帽子の中に隠し、ひざ下の茶色いズボンと同じ色のシャツを着ている。彼女は出るとこが出ていない体型だったため、オリヴィアの男装はいまのところ誰にも見破られていない。 「うーん」  オリヴィアは唸る。掲示板には仕事内容と報酬が書いてある。 「退治系は無理……薬草収集も、城壁の外に行くのは無理……、子守りの仕事……ない……犬の散歩……もなし、かぁ……」  ここのところ、東部で紛争が起きて難民が王都に押し寄せた。オリヴィアにできる仕事の大半は彼らに取られてしまっている。  オリヴィアはため息をつく。このままでは、セオドアに金が支払えず、母に気苦労をかけてしまう。 「おい、どうした? 坊主」  唸るオリヴィアに声を掛けてきたのは、最近顔なじみになっている傭兵である。彼は鍛え上げた肉体と剣術で、討伐系の仕事を多く引き受けている。  オリヴィアは泣きついた。
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