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「何かいい仕事ない?」
その言葉だけで、男はだいたいの事情を察した。彼は肩をすくめて笑った。
「ここのところ難民が来ているからなぁ!」
「うーん……」
「まあ、もう少しで難民たちも帰れるだろうし……そう悲観すんな」
「そうなんですか?」
男は目を丸くする。
「あ? 知らねぇの? 紛争はアシャー団長が沈めたんだぞ」
「へえ」
オリヴィアは頷いたが、それほど興味がわかなかった。
いずれ難民たちが家に帰ってまた仕事が舞い込んでくる、といっても、いままさに今月の金にオリヴィアは困っているのだ。
しかし、男はまだその話を続ける。
「今度、アシャー団長の叙勲式があるんだってさ。ついに団長が男爵だってよ!」
「わあ。めんどくさい」
「ん?」
オリヴィアは心底ため息をついた。叙勲式があるということは、当然貴族向けのパーティもあるはずだ。
「いや……叙勲式があるなら、恋人と見に行かないといけないから……」
「坊主、女がいるのか!」
男は豪快に笑い、オリヴィアと肩を組む。
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