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6月の雨は、長く、長く、降り続けている。
勢いよく降り注ぐ雨粒は、容赦なく傘を叩き、それから地面に撥ね返っては。
瞬く間に足元をぐずぐずに湿らせて、雨に触れていない髪や肌までが湿り気を帯びていく。
枯れた草木や乾いた地面が水を吸収するように、それは瞬く間に全身に広がって、私の心はどんどん重く冷たくなっていった。
この雨は、この恋の結末そのもの。
あの日、雨音に消えた言葉が、
私に届くことは二度とない―――。
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