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 夕暮れ時。  黒い、喪服めいた花嫁衣裳を纏った人影が、小舟に揺られている。  小舟を漕ぐのは、つるりとした面を付けた黒髪の男であった。  ゆらゆらと。  さらさらと。  黒無垢を乗せた小舟が川を流れてゆく。  やがて、それは鍾乳洞に入った。  ――そして、やはり、空の舟だけが流れ出てくるのだった。
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