自堕落貴族奮闘記

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―――んー、ここにもいないな・・・。 ―――つか街は今どうなっているんだ? ルーファスが屋敷にいなかったのは予想していたが、外へ出て探し始めるとどこか街に異様な雰囲気が漂っていた。 ―――おかしい、あまりにも静か過ぎる・・・。 先程までオズは国民のヒーローのように称えられていた。 しかし今はそれが全くない。 ―――おい、今俺様が街に姿を現しているんだぞ!? ―――もっと称えろ!! 称えるどころか逆に蔑むような視線すら感じた。 ―――何だ、これは一体どうなっているんだ・・・? ―――そしてルーファスは今どこに・・・。 ルーファスを探していると偶然ロイを見かけた。 「あ、ロイ!!」 「・・・」 だがロイはオズの声に見向きもせず足早にどこかへと行ってしまった。 それが意図的に無視したのか本当に聞こえなかったのか、ただどうもそわそわした様子に感じた。 明らかに急いでいる様子だったのは確かで、先程美味しそうに料理を食べていた時とは雰囲気がガラリと変わっていた。 「あ、あれ? 聞こえなかったのかな・・・」 辺りを見渡すと鋭い視線が突き刺さる。 「・・・くそッ、何だってんだ」 居心地の悪さを感じつつもオズはルーファスを探し続けた。 すると今度は隅で座り込んでいるブレイドを見かける。 だがどこか様子がおかしかった。 「お、おい、ブレイド・・・?」 先程まで自信満々で選挙に臨んでいたはずのブレイドの姿は見る影もなく、肩を落としブツブツと何かを呟きながら両手で顔を覆っていた。 呼んでも応えてはくれないため肩を大きく揺さぶる。 「ブレイド!! どうした、何があったんだ!?」 「終わりだ・・・! 終わりだ、終わりだ・・・ッ」 「おい!!」 「はッ・・・」 ようやくオズの存在に気付いたようだった。 「何があった?」 「オズ、か・・・。 やっぱりお前がルーファスとの成績を入れ替えた犯人だったんだな」 「・・・!?」 気付かれていると思ってはいたが、ブレイドはどうやら確信に近い何かを掴んでいるようだ。 ―――一体どこでバレたんだ・・・? 「選挙広場へ行ってみろよ」 「選挙広場? 何かあるのか?」 「もう俺もアンタも、そして・・・。 王も終わりだな」 「父さんも・・・?」 「あんなことがあったのによく“父さん”だなんて呼べるな」 「ど、どういうことだ・・・?」 確かに先程国王に襲われた時は異常者だと感じたが、あくまでオズの目線であって他には誰も居合わせていなかった。 ルーファスに会ったら話そうとは思っていたが、現在は誰にもそれを話していないというのにブレイドはまるで見ていたかのような口ぶりだ。 ブレイドはゆっくりと立ち上がりトボトボとどこかへ歩いていってしまった。 ―――一体何が起こっているんだ・・・。 オズは急いで選挙広場へと向かった。 そこで見たものに驚愕する。 「な、何だこれは!?」 そこには大きな四角い箱のようなものにオズが昨晩ブレイドの屋敷に忍び込んだ様子がハッキリと映し出されていた。 ―――どこでこんなものが・・・。 ―――というかこの箱どこかで見たことがあるような・・・? そして箱のようなものは三つあり別の箱には王が狂ったようにオズを殺そうとする姿が映っていた。 ―――ブレイドはこれを見てああ言ったのか! 最後の一つにはブレイドが貴族と思われる数人に賄賂を渡す姿が映っていた。 ―――ブレイドも影で悪事を働いていたのか・・・? 「おっと、ルーファス様の手柄を奪おうとした最低の兄オズ様のご登場だ!」 その言葉に周りはオズに注目する。 「今朝の話は全て嘘だったなんて」 「国民を騙すなんて信じられない!!」 「ち、違ッ、俺は!!」 周りから非難する声を浴びせられモノも投げ付けられた。 逃げ場がなくなっていると一人の女性が近付いてくる。 それにつれ飛んでくるモノもなくなっていった。 「おかしいとは思っていましたが私にも嘘をついていたんですね?」 見ると婚約手前まできていた貴族の彼女がいた。 オズを睨んでいる。 「い、いや、これは違うんだ!! 俺は本当に成績優秀で」 「映像でハッキリと顔も分かるのにまだ言い訳をしようとするだなんて! ・・・もういいです」 「ま、待ってくれ!!」 彼女は怒って去っていった。 追おうとするが再びモノを投げ付けられ足も止まる。 ―――くそッ、どうしてこんなことになったんだ!! ―――一体誰がこんなことを・・・。
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