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「そうだよ?衣都以外の人とはしたことがない」
「それなら!なぜ、色んな女性とかわるがわるホテルに行ったんですか?」
更に詰め寄る衣都に響は平然とした態度で聞き返した。
「なんのことかな?」
「とぼけないで答えてください。兄さんからも、響さんに直接聞くように言われたんですから」
シラを切っても無駄だとわかると、響はとうとう懺悔した。
「若気の至りってやつかな。確かめたかったんだ。衣都以外の女性を抱く気になれるのかって」
響は女性とホテルに行ったのは事実だと認めた。そして、その理由を話し始めた。
「衣都が僕のことを今後もただの友人としてしか扱ってくれなかったら困るだろう?だから、律に口の堅い女性を何人か選んでもらって試してみたんだ」
「た、試すって?」
恐る恐る尋ねると、響は艶を滲ませた流し目を衣都に送った。
「やっぱり衣都じゃないと、その気になれなかったよ。結局、彼女達を部屋に残して、律と二人でバーで飲み明かした」
「え?」
一緒の部屋に入って何もなかったなんて、とても信じられない。
響はいつもひと晩に何度も衣都を求めてくる。
(てっきり、そういう欲求が強い方だと思っていたのだけれど……違うの?)
響は具体的な方法については言及を避けたが、『衣都じゃないとその気になれない』という一言にすべてが集約されている気がした。
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