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「おば様?私に見せたいものって……」
「ここよ」
綾子が立ち止まったのは、洋風のアーチが取り入れられた土蔵の前だった。
綾子は閂を抜き取り、観音開きの扉を、目一杯開いた。
「さあ、中に入ってちょうだい」
入れと促され、衣都は困ってしまった。
土蔵の中は、最低限の掃除は行き届いていたが、埃っぽい上に、明かりもなく、絶望が口を開けて待っているようでそら恐ろしかった。
どうしても一歩が踏み出せず躊躇っていると、ドンっと強く背中が押された。
「きゃ!」
つんのめった衣都は冷たい床の上に投げ出されてしまった。
身体を起こそうとしている途中で背後でバタンと扉が閉まり、閂が擦れる重たい音が聞こえた。
辺りが闇に包まれていく。
「待って!」
「ごめんなさい!でも、こうするしかないの!」
綾子は震える声で衣都に詫びた。
(嘘でしょう!?)
衣都は暗い土蔵にひとり閉じ込められてしまったのだった。
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