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エピローグ
「うん!そうそう!とっても上手ね」
「夏貴は才能があるな。衣都に似たのか?」
衣都と並んでピアノの前に座っていた夏貴はへへんと得意気な笑みを見せた。
二人は結婚式を終えた半年後に、長男である夏貴を授かった。
時が経つのは早いもので、生まれたばかりの頃は衣都の腕にすっぽりおさまっていた夏貴も、もう五歳になった。
生まれた時からピアノの音色に親しんでいたせいか、衣都に似てピアノが大好きな子供になった。
「赤ちゃんにも聴こえたかなあ……?」
夏貴は衣都の大きくなった腹にぴたりと耳を寄せた。
衣都の腹の中には待望の第二子が宿っている。出産予定日はまだ先だが、夏貴は今から待ちきれないようで、自分のピアノをよく聴かせている。
「夏貴がたくさん聴かせてくれたんだ。きっと届いているさ」
響は立派な兄になりそうな息子の頭をよしよしと撫でてやった。
数か月後に新たな家族を迎える四季杜家は、幸せな音で溢れていた。
おわり
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