2.四季杜家のしきたり

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 不義理を働いたと責められるべきは自分だと、主張する衣都を秋雪が遮る。  秋雪は低く唸り、最後には大きなため息をついた。  響だけが晴れ晴れとした表情で己の両親を見下ろしている。  三者三様の反応が出揃い、話についていけない衣都は途方に暮れた。  どうしようもない疎外感に苦しめられていると、響に肩を抱かれる。 「驚かせてごめんね、衣都。実は四季杜家には、ある『しきたり』があるんだ」  響はようやくこの状況を説明する気になったらしい。 「しきたり、ですか?」  四季杜家で長い間居候生活を送っていた衣都だったが、しきたりの存在については初耳だった。   「四季杜家の男子は『初めて』身体を重ねた女性と結婚しなければならない」 「……え?」  しきたりの内容を聞いた衣都は目を大きく見開いた。 (け、結婚……!?)  頭の中がいくつもの疑問符で埋めつくされていく。  昨日、衣都は目の前にいる響とベッドで甘いひと時を過ごした。  他の人と比べることはできないが、初めてとは思えないほど行為はスムーズに進んだ。 「響さん……『初めて』だったんですか?」 「そうだよ?」  響は特段恥じるでもなく、いけしゃあしゃあと言い放った。
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