2.四季杜家のしきたり

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(これからどうなるのかしら……)  四季杜家のしきたりがどれほどの効力を持つのか、衣都は知らない。  しきたりを盾に結婚を主張する響に対し、秋雪と綾子がどんな行動に出るのか。  そして、衣都はどうすべきなのか……。 (考えたってどうしようもないわ)  衣都は裁判官の判決を待つ被告人のように、粛々と沙汰を待つしかない。  白紙の未来よりも、ひとまず今は荷ほどきを済ませてしまいたい。  衣都は気を取り直し、持ってきた荷物をしまうべくクローゼットを開けた。 「……え?」  衣都はクローゼットの前で棒立ちになった。  空っぽだと思いこんでいたが、扉の中には所狭しと新品の服やバッグが並べられていた。 (まさか……!)  衣都は響がいるリビングに真っ直ぐ駆け込んだ。 「響さん!クローゼットの中に女性物の服がたくさんっ……!」 「ああ。全部、衣都のだよ。好きな服を着てもらって構わない」  ソファでくつろいでいた響はこともなげにそう言うと、優雅な仕草でコーヒーを口に運んだ。
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