3.財閥御曹司の熱情

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「私……響さんが欲しいです。ダメ……ですか?」 「欲がないね、衣都は。わざわざねだらなくたって、僕は君のものだよ」  響は衣都の望みに忠実に従った。柔らかな首筋に唇を這わせ、背中のリボンを解いていく。  響はあらわになった胸の谷間を持ち上げ、無防備な頂きを口に含んで弄んだ。 「あ、ん……!」    甘い痺れが全身を駆け抜け、あまりの気持ちよさに背中がのけぞった。 「ああ、衣都……。ずっとこうしたかった……」  衣都の反応を伺うように色っぽい上目遣いで見つめられると、得も言われぬ優越感で満たされた。  欲がないなんて、美化しすぎだ。 (響さんのすべてが欲しい……)  財閥御曹司としての立場を忘れ、ひとりの男として自分を求めてもらいたかった。  響にとって最初で最後の女性でありたいと願うのは贅沢なこと?  絶え間なく交わされる熱い口づけと巧みな愛撫に、衣都の身体はチョコレートのように溶かされていった。  やがて、快感を貪る荒い息遣いだけが廊下に聞こえるようになる。  
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