3.財閥御曹司の熱情

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「君が欲しくてたまらない」  同じ気持ちだと頷くと響は衣都を抱え上げ、自室に運び入れた。  キングサイズのベッドに衣都を横たえ、中途半端に脱がされていたワンピースをすべて剥ぎ取り、いささか乱暴に床に放り投げた。 「響さんも……」  自分ひとりだけが生まれたままの姿を晒されていることに恥ずかしさを感じた衣都は、響にも服を脱ぐよう求めた。  響がシャツを脱ぐと、ほどよく引き締まった雄々しい肢体が現れる。  服を着ているとそれほど目立たないが、響の身体は筋肉の凹凸がはっきりわかるほど鍛えられていた。 「衣都、愛してるよ――」 「は、あっ……!」  興奮で昂ったもので貫かれると、目の奥がチカチカと光る。  衣都はたまらず響にしがみつき、何度も彼の名前を叫んだ。  二人は何者にも邪魔されず、ひたすら愛を確かめ合った。  何かにせき立てられるように、何度も身体を重ねる。  とても冷静ではいられない。  長い間燻っていた欲望の火はたちまち燃え上がり、いつまでも消えることがなかった。
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